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データが見せる未来の名古屋:シェアサイクルが変える「歩きたくなる街」と、あなたの不動産
カテゴリ:不動産お役立ちコラム  / 更新日付:2025/04/10 11:09  / 投稿日付:2025/04/10 11:09

「データが見せる未来の名古屋 シェアサイクルが変える 歩きたくなる街とあなたの不動産」というテキストと、自転車レーンのイラスト。データに基づいた将来の名古屋において、シェアサイクルが歩きやすい街づくりと不動産に与える影響について示唆している。
データが見せる未来の名古屋:シェアサイクルが変える「歩きたくなる街」と、あなたの不動産


~シェアサイクルの匿名データが解き明かす、都市の進化と不動産価値の新しい関係~

1. はじめに


最近、名古屋の街なかで赤いシェアサイクル「チャリチャリ」を見かける機会が増えたと感じませんか? 実は、あの自転車の利用を通じて集められる匿名の走行データが、私たちの住む街の未来をより良くしていくための、重要なヒントを与えてくれているのです。この記事では、名古屋市が先進技術を駆使して進める「ウォーカブル(歩きたくなる、居心地が良い)」な街づくりと、シェアサイクルの意外な、しかし非常に深い関係性を解き明かします。同時に、こうした取り組みがもたらす光と、向き合うべき現実的な課題にも触れながら、将来の不動産の価値にどのような影響を与えうるのか、新しい視点を探っていきましょう。


2. 名古屋の街と「チャリチャリ」の、知られざる関係


名古屋の都心部を歩いていると、赤いフレームが印象的な自転車「チャリチャリ」が停まっているポートや、それを利用して颯爽と移動する人々の姿を目にすることが多くなりました。手軽に借りられて、ちょっとした移動に便利なシェアサイクル。でも、想像してみてください。この一台一台が、まるで街の神経系のように情報を集め、都市の”今”を映し出しているとしたら…?

実は、名古屋市は「Hatch Technology NAGOYA」 という意欲的な事業を通じて、民間企業が持つ先進技術やデータを、街が抱える課題の解決や、より良い街づくりに活かす試みを進めています。その象徴的な取り組みの一つが、名古屋市が実施主体となり、シェアサイクル事業者「チャリチャリ」やコンサルティング企業の「株式会社 長大」などの協力のもと、チャリチャリの走行記録(ビッグデータ)を匿名性を保った上で解析し、自転車通行空間などの都市インフラの効果を検証する実証プロジェクトなのです。これは、個々の利用者を特定しない形で集められたデータを使い、街全体の動きを理解しようとする、全国でも先駆的な試みと言えるでしょう。


3. そもそも「ウォーカブル」な街ってどんな街?


ここで少し、「ウォーカブル」という言葉について、イメージを共有させてください。これは単に「歩ける」という意味ではありません。まちづくりの世界では、「ついつい歩きたくなる、そこに居たくなるような魅力と居心地の良さがある街」といった意味合いで使われます。

想像してみてください。

  • ウィンドウショッピングが楽しい、個性的なお店が並ぶ通り。
  • 木陰のベンチでちょっと一息つける、小さな公園や広場。
  • 四季折々の花が咲き、緑を感じられる歩道。
  • 車を気にせず、子どもも大人も安心して散策できる空間。
  • 思いがけない人との出会いや、新しい発見があるかもしれない場所。


こんな街なら、歩くこと自体が目的になりそうですよね。名古屋市は「Nagoya まちなかウォーカブル戦略(Nagoまち戦略)」 を掲げ、元々持っている広い道路や公園といった「空間的なゆとり」という財産を活かし、これまで車が主役だった場所を、人のための、賑わいや交流が生まれる空間へと生まれ変わらせようとしています。こうしたウォーカブルな街づくりにおいて、特に歩行者の目線の高さ(アイレベル)のデザインが重要になりますが、その点についてはこちらの記事(なぜか惹かれるあの通り、秘密は「目線」にあり? 歩いて楽しい街のつくり方)でも詳しくご紹介しています。これは、都市のイメージアップや生活の質の向上はもちろん、経済の活性化にも繋がる、未来への大切な投資なのです。


4. データが「見える化」する街の変化:名古屋市の実証プロジェクト


では、ウォーカブルな街づくりという大きな目標に向かって、シェアサイクルのデータは具体的にどんな役割を果たしているのでしょうか? 名古屋市の挑戦の核心は、これまで「なんとなく良さそう」で終わっていたかもしれない施策の効果を、客観的なデータで「見える化」し、より的確な次の一手につなげようとしている点にあります。

例えば、自転車が安全・快適に走れるように道路を整備したとします。その効果を確かめるには、以前なら職員さんが特定の場所でカチカチとカウンターを押して交通量を数える…といった地道な作業が必要でした。しかし、名古屋市がチャリチャリのGPSデータを匿名情報として解析することで、「どの道が」「どの時間帯に」「どれくらい使われているか」「整備後にどう変わったか」といった利用の傾向を、はるかに効率よく、街全体で把握できるようになったのです。

この実証プロジェクトでは、具体的に次のような点を明らかにしようとしています。

  • 自転車利用が多い区間の把握: 人々が実際に自転車でよく通る道を知る。
  • 整備効果の客観的な検証: 自転車レーンなどが、利用促進や安全性向上に繋がったかをデータで評価する。
  • 通行のしやすさ(円滑性)の評価と改善点の特定: スムーズに走れるか、急ブレーキが多い危険な箇所はないかなどをデータから読み取り、改善が必要な場所を見つける。


実際に、プロジェクトの一環として「堀川東線」の自転車通行空間整備の効果が分析されました。整備前(2023年9月)と整備後(2024年9月)の匿名の走行データを比べたところ、近くの他の道と比べて、堀川東線の利用割合が増える傾向が見られたそうです(※1)。整備によって、人々がその道を選びやすくなったのかもしれません。さらに、走行速度のデータからは、以前よりスムーズに走れるようになり、快適性が増した可能性も考えられます。

このように、シェアサイクルから得られる匿名データは、人々の実際の行動に基づいて街の状況を理解し、より効果的なまちづくりを進めるための、強力な羅針盤となりつつあります。もちろん、データは万能ではありませんし、解釈には慎重さが必要です。しかし、人々のプライバシーを守りながら、集合的な知恵としてデータを活用することで、より良い街を目指す。そんな新しいまちづくりの形が、ここ名古屋で始まっているのです。


5. 光と影:ウォーカブル化とシェアサイクルがもたらすもの


素晴らしい可能性を秘めたウォーカブルな街づくりとデータ活用ですが、物事には常に複数の側面があります。手放しで良いことばかり、と考えるのではなく、現実的な課題にも目を向けておくことが大切でしょう。

光(期待される効果)

  • 魅力的な街並みと賑わいの創出: 歩いて楽しい空間は人を惹きつけ、街に活気をもたらします。
  • 健康増進と環境負荷の低減: 歩くこと、自転車に乗ることは健康的であり、車の利用が減れば環境にも優しいです。
  • コミュニティの活性化: 人々が街なかで過ごす時間が増えれば、自然な交流が生まれやすくなります。
  • 都市のイメージ向上と経済効果: 魅力的な街は、観光客や新たなビジネスを呼び込む可能性もあります。

影(向き合うべき課題)

  • シェアサイクルのマナーと管理: 一部の利用者による歩道走行、危険運転、ポート以外への放置といった問題は、他の都市でも課題となっています。ルールの徹底と管理体制の強化が求められます。
  • 既存交通との調整: 自転車レーンなどを整備する際には、自動車やバスの通行スペース、駐車スペースなどとの調整が必要となり、利便性が低下する可能性も考慮しなければなりません。
  • 人が増えることによる影響: 魅力的な場所に人が集まるのは良いことですが、一方でゴミの増加、騒音、混雑といった新たな問題を引き起こす可能性もあります。
  • データ利用の倫理と公平性: 匿名化されているとはいえ、データの活用方法によっては、特定の地域や人々にとって不利益が生じないか、常に注意深い議論が必要です。


これらの課題は、決して無視できるものではありません。しかし、課題があるからといって、より良い街を目指す歩みを止めるべきではないでしょう。大切なのは、課題を認識し、対話を重ね、知恵を出し合いながら、より良い解決策を探っていくことです。光と影、両方を見据えながら進むことこそが、持続可能なまちづくりに繋がるはずです。


ウォーカブルなまちを実現するための要素を示す区画道路のイメージ図。エリアリノベーションされた店舗、コミュニティサイクルステーション、道路空間を活用した屋外席などが描かれている
ウォーカブルなまちを実現するための要素 | 出典: Nagoyaまちなかウォーカブル戦略(全体版)令和7年度更新版

6. つながる点と線:「ウォーカブル」と「シェアサイクル」の深い関係(再確認)


さて、光と影を踏まえた上で、改めて「ウォーカブル」と「シェアサイクル」の関係性を整理しましょう。この二つは、単に同じ街で起きている別々の事象ではなく、深く結びついています。

  1. ウォーカブルな街の「賢い足」:
    歩くのが基本のウォーカブルな街でも、ちょっとした距離の移動や、坂道、荷物がある時など、自転車が便利な場面は多いです。特にシェアサイクルは、必要な時だけ手軽に使える「街の共有自転車」として、公共交通と徒歩の間を繋ぎ、人々の行動範囲をスムーズに広げてくれます。
  2. ウォーカブルな空間を「形づくる」要素:
    自転車レーンや通行帯は、歩行者・自転車・車の安全な共存を助け、ウォーカブルな空間の質を高める重要な基盤(インフラ)です。シェアサイクルのポートも、単なる置き場所ではなく、うまくデザインされれば、街の風景に溶け込み、ちょっとした休憩や待ち合わせの目印にもなりえます。
  3. ウォーカブルな街を「育てる」羅針盤:
    名古屋市が進めるように、シェアサイクルから得られる匿名の利用データは、ウォーカブル施策が実際にどう機能しているかを客観的に「測る」ことを可能にします。そして、その結果に基づいて計画を「改善する」ための、貴重な情報源となるのです。


つまり、シェアサイクルは、ウォーカブルな街づくりにおいて、便利な移動手段であり、空間を構成する一部であり、そして未来をより良くするためのデータを提供してくれる存在でもある、と言えるでしょう。この三つの役割が相互に作用しあうことで、街はより魅力的で、持続可能なものへと進化していくのです。


7. ウォーカブル化は、不動産の価値にどう響く?現実的な視点


こうした街の変化は、私たちの暮らしに潤いをもたらすだけでなく、関心事である「不動産」の価値にも、何らかの影響を与える可能性があります。ウォーカブルで、移動手段の選択肢が多い街は、一般的に「暮らしやすい」「訪れたい」「ここで働きたい」と感じる人が増える傾向にあります。これは、不動産の価値を考える上で無視できない要素です。

具体的には、次のような影響が「考えられる」かもしれません。

  • アクセス性の向上という選択肢: 最寄駅から少し歩く場所でも、シェアサイクルが身近にあれば、移動の負担が軽減され、実質的なアクセス性が向上したと感じる人が増えるかもしれません。
  • 住環境・エリアイメージの向上: カフェのテラス席でくつろぐ人、公園で遊ぶ親子、安全な歩道を散策する高齢者…そんな光景が日常になれば、そのエリアの「住みやすさ」や「雰囲気の良さ」は確実に高まります。
  • 将来性への期待感(ただし冷静な判断が必要): こうした魅力の高まりは、長い目で見れば、そのエリアの不動産に対する関心を高め、価値の維持・向上に繋がる「可能性」があります。特に、市が重点的にウォーカブル施策を進めているエリアや、シェアサイクルのポートが多く計画されている場所は、将来性を測る一つの指標にはなるかもしれません。


しかし、ここで強調しておきたいのは、不動産の価値は非常に多くの要因によって決まる、ということです。

  • 経済全体の動向や金利
  • 物件そのものの状態(築年数、広さ、設備など)
  • 周辺の競合物件の状況
  • 人口動態の変化
  • 災害リスク


など、ウォーカブル性やシェアサイクルの利便性以外にも、考慮すべき点は山ほどあります。「ウォーカブルな街になったから、すぐに価値が上がるはずだ」と短絡的に考えるのは危険です。あくまで、数ある価値判断の材料の一つとして、冷静に捉える姿勢が重要です。期待を持つことは良いですが、過度な期待は禁物です。


8. まとめ:未来の名古屋を見据え、街を見る解像度を上げる


名古屋市は今、シェアサイクルという身近なツールから得られる匿名データと、ビッグデータ解析という先進技術を掛け合わせることで、「ウォーカブル」という、人中心の豊かな街づくりを加速させようとしています。これは単なるインフラ整備ではなく、私たちの暮らし方や街との関わり方、そして未来の都市像そのものを変えていく可能性を秘めた、壮大な実験とも言えるかもしれません。

もちろん、その道のりには課題もあります。しかし、課題から目をそらさず、データという客観的な根拠に基づきながら、対話を重ねてより良い方向性を探っていく。そのプロセス自体が、成熟した都市の姿なのかもしれません。

私たち一人ひとりが、こうした街の変化の潮流を理解し、「街を見る解像度」を少し上げてみること。それは、日々の暮らしをより楽しむヒントになるだけでなく、将来の住まい選びや、大切な資産である不動産の活用を考える上で、きっと役立つはずです。この記事が、未来の名古屋と、ご自身のこれからについて考える、ささやかなきっかけとなれば、これほどうれしいことはありません。

そして、こうした街の変化を踏まえ、ご自身の不動産の将来性や具体的な活用方法について、専門的な視点からのアドバイスを求めてみるのも、有効な選択肢の一つと言えるでしょう。


名古屋の未来とあなたの不動産について、専門家と一緒に考えてみませんか?


この記事を読んで、変わりゆく名古屋の街や、ご自身の不動産の将来性、活用方法について、もっと深く考えてみたいと思われた方もいらっしゃるかもしれません。ウォーカブルな街づくりは、私たちの暮らしだけでなく、不動産の価値にも長期的な視点で影響を与える可能性があります。

私たちSTF PropTechは、税理士と宅地建物取引士の資格を持つ専門家が、不動産と税務、資産活用の両面から、お客様一人ひとりの状況に合わせた最適なサポートを提供しています。名古屋市千種区・昭和区・瑞穂区・名東区を中心に、地域に根差したサービスを展開しており、相続不動産や空き家対策にも豊富な実績がございます。

単なる売却だけでなく、将来を見据えた資産価値の維持・向上、最適な活用方法のご提案まで、ワンストップで対応いたします。まずはお気軽にご相談ください。


FAQ(よくある質問)

Q1: ウォーカブルな街になると、具体的に何が変わるのですか?
A1: 歩道が広くなったり、公園や広場が使いやすくなったりするだけでなく、カフェのテラス席が増えたり、路上でイベントが開催されたりするなど、街なかで過ごす時間そのものが豊かになることが期待されます。安全で快適に歩けるようになることで、健康増進や地域コミュニティの活性化にも繋がります。

Q2: シェアサイクル「チャリチャリ」のデータは、どのように扱われているのですか? プライバシーは大丈夫ですか?
A2: チャリチャリ自体は、チャリチャリ株式会社が運営するサービスですが、今回のデータ解析は、名古屋市が主体となって実施している実証プロジェクトの一環です。このプロジェクトでは、チャリチャリ株式会社から匿名化された走行データの提供を受け、名古屋市が分析を行っています。つまり、個々の利用者の個人情報が特定される形でデータが利用されるわけではありません。市と民間企業が連携し、プライバシーに配慮しながらデータに基づいたまちづくりを進めている事例と言えます。

Q3: データ解析の結果は、どこで見ることができますか?
A3: 名古屋市が実施した実証実験の結果の一部は、市のウェブサイトや記者発表資料などで公開されています。例えば、本記事で触れた堀川東線の利用割合に関するデータは、令和7年2月12日付の「先進技術を用いた社会実証プロジェクトの実施について」という資料(※1)に記載されています。今後も、様々な分析結果が公表されていく可能性があります。

Q4: 不動産価値への影響は、本当にあるのでしょうか?
A4: ウォーカブル性や交通利便性の向上は、不動産の魅力を高める要因の一つであり、中長期的に見て資産価値にプラスの影響を与える「可能性」はあります。しかし、不動産価値は経済状況、物件の状態、金利など多くの要因で決まるため、「ウォーカブル=価格上昇」と単純には言えません。将来性を判断する上での一つの視点として、冷静に捉えることが大切です。

Q5: シェアサイクルのマナー問題など、課題もあるのでは?
A5: ご指摘の通り、シェアサイクルの普及に伴い、一部利用者のマナー違反(歩道走行や放置など)や、駐輪スペースの問題は現実的な課題です。また、ウォーカブル化によって人が増えることによる混雑やゴミ問題なども考えられます。名古屋市もこれらの課題を認識しており、ルール整備や啓発活動、インフラ整備などを通じて、対策を進めていく必要があります。より良い街づくりは、こうした課題と向き合いながら進めていくものです。


【参考資料】

監修者情報

佐治 英樹(さじ ひでき)
佐治 英樹(さじ ひでき)
税理士(名古屋税理士会), 行政書士(愛知県行政書士会), 宅地建物取引士(愛知県知事), AFP(日本FP協会)
趣味は、筋トレとマラソン。忙しくても週5回以上走り、週4回ジムに通うのが健康の秘訣。

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