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名古屋の街をもっと便利に!サクッと使える「特定用途誘導制度」って何?
カテゴリ:不動産お役立ちコラム  / 更新日付:2025/04/07 13:14  / 投稿日付:2025/04/07 13:14

「名古屋の街をもっと便利に!サクッと使える『特定用途誘導制度』って何?」というテキストと、旗を持って誘導する作業員のイラスト。名古屋市の都市計画における特定の用途を誘導する制度について解説していることを示唆している。
名古屋の街をもっと便利に!サクッと使える「特定用途誘導制度」って何?
~比較的手続きが簡単で、街の役に立つ建物を建てるとお得になる仕組み~

はじめに:その土地、もっと活かせるかも?


「うちの近くにもっと便利な施設があったらいいな」「この空いている土地、何か街の役に立つことに使えないかな?」―― 名古屋にお住まいの方なら、そんな風に感じたことがあるかもしれません。実は、名古屋市には、そうした想いを後押ししてくれる制度があるんです。それが今回ご紹介する「特定用途誘導制度(とくていようとゆうどうせいど)」です。少し難しそうな名前ですが、中身は「街に必要なものを作ってくれたら、ちょっとおまけ(容積率緩和)をしますよ」という、比較的シンプルで使いやすい仕組みなんです。この記事を読めば、この制度がどんなもので、私たちの暮らしや街にどう関わってくるのかが分かります。


なぜ名古屋市はこの制度を使うの?


名古屋市は今、リニア中央新幹線の開業も見据え、もっと魅力あふれる街になることを目指しています。「なごや集約連携型まちづくりプラン」という計画では、むやみに街を広げるのではなく、駅の近くなど便利な場所に、生活に必要な施設や働く場所、賑わいを生む施設などを集めていこう(これを「コンパクト・アンド・ネットワーク」と言います)と考えています。この「特定用途誘導制度」は、まさにその計画を実現するための一つの道具なんです。特に都心(名古屋駅周辺や栄など)や、地域の中心となる駅周辺(地域拠点)で、「こういう機能を持つ建物がもっと増えてほしいな」という市の想いを形にするために、この制度を使って民間の力を借りながら、より良い街づくりを進めようとしているのです。


「特定用途誘導制度」って、どんな仕組み?


簡単に言うと、市が「このエリアには、こういう建物が欲しい」と定めた用途(これを「誘導すべき用途」と言います)の建物を、対象となる区域内に建てる場合に、市の認定を受けることで「容積率(ようせきりつ)」を割り増ししてもらえる制度です。「容積率」というのは、その土地の広さに対して、どれくらいの床面積の建物を建てられるか、というルールのこと。例えば、容積率200%なら、100平方メートルの土地に合計200平方メートルまでの床面積の建物が建てられる、という具合です。この制度を使うと、その上限がアップする、つまり、本来のルールよりも少し大きな建物や、より多くの機能を入れた建物を建てられるようになるわけですね。


この制度の「いいところ」は? 3つの特徴


この制度が他の開発制度と比べて特に使いやすいとされる点には、大きく3つの特徴があります。

  1. 公開空地や難しい貢献が原則いらない!
    開発制度の中には、容積率を緩和してもらう代わりに、敷地内に誰でも通れる広場(公開空地)を作ったり、難しい条件の公共貢献(例えば、すごく環境に良い設備を入れるなど)を求められたりするものがあります。しかし、この制度では、基本的には「誘導すべき用途」の建物を建てること自体が貢献とみなされるので、そうした付加的な条件が原則ありません。

  2. 比較的小さな敷地でも使いやすい!
    対象となる建物の建築面積(建物を真上から見たときの面積)が200平方メートル以上であれば利用できる可能性があります。これは一般的な戸建て住宅より少し大きいくらいの規模感。大規模な再開発だけでなく、中小規模の土地活用でも検討しやすいのが魅力です。

  3. 手続きがシンプルでスピーディー!
    都市計画そのものを変更するような複雑な手続きは必要なく、市に申請して「認定」を受けるだけで容積率の緩和が受けられます。計画から実現までのスピード感を重視したい場合に有利です。


どんな場所で使えるの?(対象区域と地域拠点駅)


この制度が使えるのは、名古屋市が定めた「特定用途誘導地区」の中だけです。具体的には、以下の3つのエリアに分かれています。

  • 都心地区: 名古屋駅周辺、伏見、栄といった名古屋の中心部。国際的な機能やビジネス機能を集めたいエリアです。

  • 地域拠点A地区:都心に次ぐ重要な拠点で、多様な機能が期待されるエリアです。以下の駅周辺が対象です。
    • 今池駅、星ヶ丘駅、本山駅、大曽根駅、御器所駅、桜山駅、八事駅、神宮前駅
  • 地域拠点B地区:地域生活を支える拠点としての役割が期待されるエリアです。以下の駅周辺が対象です。
    • 黒川駅、上小田井駅、中村公園駅、八田駅、新瑞橋駅、日比野駅、高畑駅、港北駅、港区役所駅、笠寺駅、小幡駅、徳重駅、鳴海駅、藤が丘駅、平針駅

ご自身の土地や関心のあるエリアが、これらのどこかに含まれているか確認してみるのが第一歩ですね。(※対象区域の正確な範囲や条件は、必ず名古屋市の都市計画情報提供サービス等でご確認ください)


どんな建物が「誘導すべき用途」になるの?


では、具体的にどんな建物を建てると容積率がアップするのでしょうか? これは、対象となるエリア(都心地区、地域拠点A地区、地域拠点B地区)によって少し異なります。名古屋市がそれぞれのエリアに期待する役割が違うからです。

主な誘導すべき用途の例都心地区地域拠点A地区地域拠点B地区
文化・スポーツ交流施設(劇場、ホール等)
国際・産業交流施設(MICE、ホテル等)
子育て・高齢者交流施設(児童館等)
拠点的な医療施設(病院)
拠点的な行政サービス施設(区役所)
まちの魅力向上施設(商業文化施設等)


※これはあくまで一部の例です。●が対象となる用途を示します。-は原則対象外です。
※細かい条件(床面積の合計が500㎡以上必要など)がある場合もあります。
※特に都心地区では、国際的な機能やビジネス関連の機能が多く求められています。一方、地域拠点B地区では、より地域生活に密着した機能が中心になっているのが分かりますね。


どれくらい容積率がアップするの?


この制度を使って割り増しされる容積率の上限は、元の基準となる容積率によって計算され、以下のようになります。

  • 都心地区:最大で70%
  • 地域拠点A地区・B地区:最大で66%


例えば、元の容積率が400%の地域拠点A地区で、誘導すべき用途の施設をたくさん設けた場合、最大で400% + 66% = 466% まで容積率を高められる可能性があるということです。これは、より多くの賃貸スペースを確保できたり、採算の厳しい公益的な施設を併設しやすくしたりと、事業計画にとって大きなメリットになります。


どうやって利用するの?(簡単な流れ)


制度を利用したい場合、大まかには以下のような流れで進みます。

  1. 事前相談: まずは名古屋市(住宅都市局都市計画課)に「こんな計画で制度を使いたいんだけど…」と相談します。

  2. 事前協議: 計画内容がある程度固まったら、市と具体的な協議を行います。

  3. 認定申請: 正式な申請書類を市に提出します。

  4. 審査・認定: 市が計画内容を審査し、問題がなければ認定されます。

  5. 建築確認申請: 認定を受けてから、通常の建築確認申請を行います。

  6. 工事・完了報告: 工事が完了したら、市に報告書を提出します。


専門家への相談も忘れずに


手続き自体は比較的シンプルですが、対象区域の確認、誘導用途の適合性、容積率の計算など、専門的な知識が必要な部分もあります。実際に制度利用を検討する場合は、設計事務所や不動産コンサルタントなど、専門家によく相談することをおすすめします。


まとめ:街も自分もハッピーになる選択肢


「特定用途誘導制度」は、手続きの手軽さとスピード感が魅力の開発支援制度です。街が必要としている機能を提供することで、容積率緩和というメリットが得られ、土地の有効活用や事業性の向上が期待できます。それは結果的に、私たち市民にとっても、より便利で魅力的な街が実現することにつながります。もしあなたが土地活用を考えているなら、あるいは、もっと良い名古屋の街づくりに関心があるなら、この制度のことを少し覚えておいて損はないはずです。


FAQ

  • Q1: どんな土地でもこの制度を使えますか?
    A1: いいえ、使えるのは名古屋市が指定した「特定用途誘導地区」(都心地区、地域拠点A地区、地域拠点B地区)の中だけです。また、地区ごとに商業系の用途地域であることや、定められた容積率以上であること、建物の建築面積が200㎡以上であることなどの条件があります。詳細は市のウェブサイトや窓口で確認が必要です。

  • Q2: 容積率がアップする以外にメリットはありますか?
    A2: この制度自体の直接的なメリットは容積率の緩和ですが、誘導すべき用途として公益的な施設などを導入することで、地域貢献をアピールできたり、建物の付加価値を高めたりすることにつながる可能性はあります。

  • Q3: 制度の利用申請は自分でもできますか?
    A3: 申請自体は可能ですが、建築計画や法規に関する専門的な内容が含まれるため、通常は建築士などの専門家が代理で行うことが多いです。まずは専門家にご相談いただくのがスムーズでしょう。




名古屋での土地活用・不動産売却は専門家にご相談を


今回の「特定用途誘導制度」のように、名古屋市には様々な土地活用や開発を支援する制度があります。しかし、どの制度が最適か、どうすればメリットを最大限に活かせるかは、専門的な知識や経験がないと判断が難しい場合も多いでしょう。

もし名古屋市千種区・昭和区・瑞穂区・名東区などを中心としたエリアで、相続した不動産、空き家、その他お手持ちの不動産の活用や売却にお悩みでしたら、ぜひ私たちSTF PropTechにご相談ください。不動産の専門家だけでなく、税理士やFPなどの専門家チームが、お客様の状況に合わせた最適なプランをご提案します。制度活用に関するアドバイスから、具体的な手続きのサポートまで、ワンストップで対応可能です。


参考資料

監修者情報

佐治 英樹(さじ ひでき)
佐治 英樹(さじ ひでき)
税理士(名古屋税理士会), 行政書士(愛知県行政書士会), 宅地建物取引士(愛知県知事), AFP(日本FP協会)
趣味は、筋トレとマラソン。忙しくても週5回以上走り、週4回ジムに通うのが健康の秘訣。

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