名古屋・愛知で、使っていない土地や空き家を売ろうとしたとき、価格が低いほど「費用や手間をかけて売る意味があるだろうか」と迷いやすくなります。
一定の条件を満たす低未利用土地等には、長期譲渡所得から最大100万円を差し引ける特例があります。低未利用土地等とは、空き地や空き家・空き店舗の敷地など、周辺の同じような土地と比べて利用の程度が低い土地を指します。
この特例では、売却価格の上限が所在地によって500万円または800万円に分かれます。さらに、買主が取得後に土地をどう使う予定かも確認されます。
記事作成時点
本記事は2026年8月24日時点で確認できる制度をもとに作成しています。
売却前に確認したい5項目
特例に該当する可能性を調べるときは、次の5項目が出発点になります。
- 土地・建物の所在地と区域
- 土地を取得した時期
- 土地と建物を合わせた売却予定価格
- 現在の利用状況
- 買主が取得後に予定している利用方法
特に判断が分かれやすいのは、所在地による価格上限と、買主の利用予定です。まず、この2点から見ていきます。
500万円・800万円は所在地の区域で分かれる
売却価格の条件は、土地の上に建物などがある場合、その対価も合計して判定します。
愛知県内で最初に見る目安は次のとおりです。
| 所在地の区域 | 土地・建物を合わせた売却価格の上限 |
|---|---|
| 市街化区域 | 800万円以下 |
| 市街化調整区域 | 原則500万円以下 |
市街化調整区域でも、所在地の市町村が所有者不明土地対策計画を作成している場合は、800万円以下の基準が使われることがあります。全国制度では、市街化区域と市街化調整区域の区分がない都市計画区域のうち、用途地域が定められた区域も800万円以下です。
愛知県の開発許可案内では、県内にこの「非線引き都市計画区域」はないとされています。同じ案内には、指定都市などでは取扱いが異なる場合があるとの注記もあります。
そのため、「愛知県内だから800万円」「市街化調整区域だから必ず500万円」と住所だけで決めず、所在地の区域と市町村の扱いを確認します。
名古屋市では地図サービスで区域を確認できる
名古屋市では、市域が市街化区域と市街化調整区域に区分されています。
原則として、市街化区域にある低未利用土地等は800万円以下、市街化調整区域にあるものは500万円以下が価格要件となります。ただし、市街化調整区域でも、所在地の市町村が所有者不明土地対策計画を作成している場合は、800万円以下の基準が適用されることがあります。
まず名古屋市都市計画情報提供サービスで所在地の区域を確認し、そのうえで、名古屋市の確認書担当窓口へ制度上の取扱いを確認してください。都市計画情報提供サービスでは、市街化区域・市街化調整区域などの区域区分を確認できます。
買主の利用予定も条件になる
この特例は、売却前に十分使われていなかった土地を、利用する意思のある買主へ渡すことを後押しする制度です。買主の利用予定は、売買契約時までに確認しておくことが望ましいとされています。
次の表は、売却後の利用要件だけを見た目安です。○に当たる利用でも、価格や所有期間など、ほかの条件を満たす必要があります。
| 目安 | 買主による売却後の利用例 |
|---|---|
| ○ 対象となる可能性がある | 住宅、店舗、事務所、工場・作業場として使う |
| ○ 対象となる可能性がある | 建物に当たる立体駐車場として使う |
| ○ 対象となる可能性がある | 隣接する店舗の敷地と一体で使う |
| ○ 対象となる可能性がある | 宅地建物取引業者が空き家を買い取り、一定の質の向上を図るリフォームをして再販売する |
| × 原則として認められない | 空き地や空き家のまま保有する |
| × 原則として認められない | 平面駐車場やコインパーキングとして使う |
| × 原則として認められない | 資材置場など、土地の利用の程度が低いまま使う |
| × 原則として認められない | 土地を利用せず、そのまま転売する |
店舗の駐車場として一体利用する場合と、駐車場だけを設ける場合では扱いが変わります。表に近い用途でも個別の計画によって判断が分かれるため、買主の予定を具体的にして市区町村へ確認します。
3つの事例で条件の組み合わせを確認する
以下は、価格上限と売却後の利用を理解するための簡略例です。いずれも、所有期間など、ほかの条件を満たすことを前提としています。
事例1 700万円で売却し、買主が住宅を建てる予定
土地と建物の合計価格が700万円で、所在地が800万円基準の区域にあり、買主が住宅を建てる予定なら、価格と売却後利用の条件を満たす可能性があります。
事例2 850万円で売却する予定
所在地が800万円基準の区域でも、土地と建物の合計価格が850万円なら、売却価格の条件を満たしません。
事例3 400万円で売却し、買主がコインパーキングにする予定
売却価格が400万円でも、コインパーキングは原則として売却後の利用に認められません。価格の条件だけで特例の対象とは判断できない例です。
所有期間や現在の状態にも条件がある
価格と買主の利用予定を確認したら、残る主な条件も確認します。
- 売主が個人である
- 土地が都市計画区域内にある
- 売却した年の1月1日時点で、所有期間が5年を超えている
- 売却時に空き地、空き家・空き店舗の敷地などの低未利用土地等である
- 親子や夫婦など、特別な関係にある相手への売却ではない
- 前年または前々年に分筆した関連土地で、同じ特例を利用していない
- 併用できない別の譲渡所得の特例を利用していない
適用期限は、2028年12月31日までに行われる譲渡です。
100万円控除は長期譲渡所得から差し引く
この特例で最大100万円が控除されるのは、売却代金や税額からではありません。売却代金から取得費や譲渡費用などを差し引いて計算する長期譲渡所得が控除の対象です。
たとえば、特例を使う前の長期譲渡所得が150万円で、100万円を全額控除できる場合、課税対象となる長期譲渡所得は50万円になります。長期譲渡所得が60万円なら、控除額は60万円です。
ポイント:100万円控除は、税額から100万円を直接差し引く制度ではありません。長期譲渡所得から最大100万円を控除する制度です。
実際に減る税額は、譲渡所得の金額、取得費、ほかの特例の利用状況などによって変わります。
確認書は市区町村で取得し、確定申告に添付する
確定申告では、土地の所在地を管轄する市区町村が発行する「低未利用土地等確認書」などを添付します。市区町村は、都市計画区域内にあること、売却前の状態、売却後の利用見込み、所有期間などを確認します。
確認書の交付だけで税制の適用は確定しません
確認書は確定申告に必要な書類の一つです。最終的な適用可否は、ほかの要件も含めて税務署が判断します。
買主の利用意向を示す書類が必要になるため、売却後に初めて制度を調べると準備が難しくなることがあります。売却を依頼する不動産会社へ、特例を検討していることを早めに伝えてください。
愛知県でも利用例が確認されている
国土交通省によると、2024年に全国の市区町村が交付した低未利用土地等確認書は4,817件で、対象となった譲渡価格は平均303万円でした。愛知県は201件で全国5位です。
確認書が交付された土地等は、売却前の49.6%が空き地でした。買主による売却後の利用予定は住宅が72.1%を占めています。これらは確認書の交付実績であり、税制が最終的に適用された件数や、予定どおり住宅が完成した件数を示すものではありません。
まとめ 5項目をそろえて売買契約前に相談する
低未利用土地等の100万円控除は、価格の低い空き地や空き家を、次に利用する人へつなぐ売却で検討できる特例です。
売却前には、次の5項目を整理します。
- 所在地と区域
- 土地を取得した時期
- 土地・建物を合わせた売却予定価格
- 現在の利用状況
- 買主が取得後に予定している利用方法
所在地による500万円・800万円の上限と、買主の利用予定まで確認してから売買を進めることが大切です。不動産会社には5項目を伝え、市区町村には確認書の手続、税務署または税理士には特例の適用可否と確定申告を確認してください。
よくある質問
Q.100万円分、税金が安くなる制度ですか?
A.最大100万円を長期譲渡所得から差し引く制度です。税額から100万円を直接差し引く仕組みではありません。実際の税負担差は、譲渡所得やほかの条件によって変わります。
Q.建物付きの空き家を売る場合、価格は土地だけで判定しますか?
A.土地とその上にある建物等を同じ所有者が一緒に譲渡する一般的なケースでは、土地と建物等の譲渡対価の合計により、500万円又は800万円以下かを判定します。ただし、土地と建物等の所有者が異なる場合、土地が共有の場合、同じ年に複数の低未利用土地等を売却する場合などは、判定方法が異なることがあります。該当する場合は、税務署又は税理士へ個別に確認してください。
Q.市街化調整区域なら、上限は必ず500万円ですか?
A.原則は500万円ですが、所在地の市町村が所有者不明土地対策計画を作成している場合は、800万円以下まで対象になり得ます。所在地の市町村へ確認してください。
Q.買主の利用予定がまだ決まっていなくても申請できますか?
A.この特例では、買主が取得後に利用する見込みを市区町村が確認します。売買契約時までに利用予定を確認できるよう、仲介する不動産会社へ早めに相談してください。
Q.市区町村から確認書が出れば、控除は確定しますか?
A.確認書は確定申告に必要な書類の一つです。交付だけで適用が確定するものではなく、ほかの税務要件を含めて税務署が判断します。
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記事の制作について(免責)
本記事は一般的な情報提供を目的とし、特定の不動産取引・税務判断・法務判断の助言ではありません。実際の適用可否は、土地の状況や取引内容に応じて、所在地の市区町村、税務署または税理士などへご確認ください。
本記事は2026年8月24日時点で確認できる公表情報をもとに作成しています。制度、適用要件、申請書類、適用期限などは今後変更される可能性があります。
本記事の作成にはAIを活用していますが、最終確認・監修は佐治英樹(税理士・宅地建物取引士)が行っております。






